寒河江駅

早朝、15cmほどの新雪を両手ですくいとり、
手のひらでおにぎりを作るように固めると、
いまにも水滴がしたたる様に、
湿り気を多く含んでいる。
真冬のサラサラして、長靴で踏みしめるとキュッと音のする、
乾いた雪にはほど遠く、初春への移りかわりを感じる。

AM6時16分、置賜駅発の新庄行き鈍行列車に乗り、
山形駅で左沢線に乗り換え、7時40分に寒河江駅に着き、
東口で迎えに来てくれる予定の、庄司君を待つ。
タクシー乗り場付近で彼を待ち、寒気をまとった風に触れていると、
体の芯までこごえてきて、
駅内の暖房付の真新しいトイレ内に逃げ込んだ。

間もなく彼の黒色の車は、屋根とボンネットに20cmの新雪を乗っけたまま、
雪だるまのような格好で、駅そばの細い道に現れた。

買取した車に積もった雪を、寒さに震えながら払い下ろし、
冷え切った車内にそくさくともぐりこみ、ひとり米沢に帰る。

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