やまうど
山形県大蔵村にある、開湯1200年と言い伝えられている肘折温泉奥の、
月山の奥深い山々に、今年3度目となる山菜取りのため、
朝2時に先輩の玉ちゃんの勤務する会社に集まり、
2時間30分かけて、ブナ林に囲まれたダム湖に向かう。
ボートをダム湖の上流にある沢のほとりにつけ、
沢の奥深く入る。
一時間歩いたところにある、日当たりの良い何の変哲もない平らな地面に、
畑に植えてあるようにそろった、全長30cm~50cmのやまうどが、
そこらじゅうに顔を出している。
「やまうどが畑で栽培したように、あたり一面に生えていて、
ほとんど動かずに座ったままで、採っていた」と言う大げさな話を、
たまに聞くが、今まで一度もそんな状況を経験したことがなく、
そんな話のヌシは、見てきたようなウソを言う講釈師まがいのヤツだと、
思っていた。
「ここの場所は2人だけの秘密にしよう」。
先輩の玉ちゃんとニヤニヤ約束する。
この光景は、きっと何度か、夢に出てきそうだ。
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