引き取り
7時40分、米沢駅発の山形新幹線に乗り、 福島駅で連結されるMAXやまびこ号に乗り換え 、 空席目立つ自由席にようやく座る。 出張と思われる50歳ぐらいの男性は、背広を着て、 足を組んだまま熟睡している。 あまり代わり映えしない化粧を続ける人、 太めなのにパクパクお菓子を食べている女性も見える。 郡山駅に停車した。空は今にも雨粒が、 パラパラ落ちてきそうな灰色で、 駅のホームに立っている人達は、黒や灰色の防寒具を着て、 電線で休んでいるカラスのように、おとなしく整列している。 山形県から栃木県の黒磯までは、長いトンネルが多い。 新幹線の猛烈なスピードと、 線路の両側にそそり立つ遮音壁のため、 トンネルを出ても、景色の一部しか見えない。 移動時間は短縮されて便利だが、それだけだ。 次の停車駅は大宮、ここで降りてJR成田エクスプレスに乗り 新宿に出て、 中央線快速で立川駅まで行き、 その後青梅線で小作駅到着後、 タクシーを拾い、 ぶつけられて修理完了したポルシェの引き取りに、 最短時間で英オートサービスさんに着く予定だった。 大宮駅始発のJR成田エクスプレスに、乗り込む。 全席指定と書いてありいやな予感したら、 車内放送で 「この車両は、全席指定となっており、 乗車券と指定券の無い方は、 事前にお求めください」。 そんなことな知る由も無く、出発寸前に、 座っていた席からあわてて立ち去る。 その後、不慣れな都内の路線をキョロキョロしながら乗り継ぎ、 なんだかんだで引き取り先の、田中社長にお会いしたのは、 午後一時過ぎだった。