トンビマイタケ
日曜日の午後2時、何もしない一日はもったいなく思えて、 入道雲もチラホラ出てきた山の端を見ていやな感じもしたが、 何とか天気も持ちそうだと解釈し、飯豊町中津川部落奥の、 通称東沢林道めざして、二頭の犬とスズキジムニーに乗り込む。 PM4時にお目当ての山に着き、急いで峰まで登り、 直径1m以上あるブナの根っこの周りをのぞいて、 トンビマイタケ様目当てに、峰から斜面を登ったり降りたり。 虫除けネット付きの帽子、厚手の長袖シャツ、手差し、皮製の手袋、 首に巻いたタオル、綿100%のゴワゴワしたジーンズ、 スパイク付き長靴の装備で、夏の蒸し暑い山の中を30分歩けば、 大汗まみれになる。 そんな時、遠くで雷鳴がとどろいた。 高山の雷様の動く速度は、地上のそれとは比較にならず、 オリンピックの100m競技の選ばれし選手と、 フツーのオジサンが競争するようなもので、 急いで逃げないと危ない。 斜面を転びそうになりながら駆け落ち、林道脇に停めてある車に戻る。 真っ黒い積乱雲は、もうそこまで来ていた。