大晦日

やっと米沢らしく一日中雪は舞い、出番を待っていた除雪車も、

うれしそうに行き交う。 

 大晦日にドブロク18本出来上がるので、取りに来てくれと、

Tさんからの連絡を受け、吹雪で視界の悪い中、

奥深い山間の集落、中津川地区へと向かう。

積雪は50~60cmぐらいで、

あちこちでグレーダーやロータリー車が、

雪を道路脇に押し込んだり、吹き飛ばしたりしていて、

その数は対向車より多い。

一時間弱でお目当てのTさん宅へ着き、

待っていたかのように、玄関先で笑顔の出迎えを受けた。

まだ小学校低学年とおぼしき二人の子供は 、

自宅脇の山の端で、夢中で雪遊びしている。

お土産持参で伺ったところ、

ドブロクをかなり値引きしていただいて、

思わず恐縮する。

帰り道、すれ違う車は片手以下のため、滑りやすい雪道を、

レーシングドライバーにでもなったつもりで、

ドリフトしながら山道を駆け下りる。

ゆるい下りの右カーブで、60km/hくらいのスピードから

アクセルを置いた右足をゆるめたら、

フワッとした感覚と共に、

スズキジムニーの車体はそのまま右回りに一回転して、

対向車線の道路脇の雪の壁にぶつかって止まる。

車体は、雪の壁の脇にある、

ゴーゴー音を立てて流れる川に向かって少し傾き、

軽くてめったにスタックしないジムニーでも、脱出できなかった。

そこは自宅から20数分の場所のため、すぐカミサンに連絡し、

ジムニーに携帯しているゴムワイヤーを迎えの大型のRV車に連結し、

あっさり引き上げ完了する。

除雪車が押し込んで出来た、そのクッションとなる雪の壁が無かったら、

真冬の川で、したくもない初泳ぎとなるところだった。


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