チチタケ





朝5時に家を出て、飯豊町中津川部落奥のブナ林に着くと、

もうAM6時10分。


今日は湿気を含んだ生暖かい風が吹き、アブの数も一段と多い。

車を降り、少し離れたところでスパイク付き地下タビをを履き、

跳ね返った木などで、足のスネを打撲しないようキャハンを巻く。

長袖の厚手のシャツを着て、首にグルグルとサラシを巻きつけ、

手首には手差しをはめ、軍手の上から皮製の手袋をして、

防虫ネット付き帽子をぎゅっとかぶり、ハケゴを背負う。




片手づつ交互に生木をつかみ、急斜面を峰に向かって登り始めると、

早くも噴出す汗は止まらない。


ブナとミズナラの巨木が多いこの山の、下草も少なく風通しの良い、

そして日当たりの良い斜面には、多くのツチカブリとチチタケが、

踏みしめるとフワリとした腐葉土から生え出ている。

今が最盛期のようで、小さな虫も付いていない。




雷様が遠くでゴロゴロ鳴り始め、湿気でムンムンした木々の中を、

休まず一気に駆け下り、アッと言う間に近づいてきた雷鳴を背に、

着替えもせず車に乗り込む。




サウナに長時間入っていても、こんなに汗だくになったことはない。

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